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鷹山孝弘様作

「旅立つ条件」
勇者。
それってなんだろうかと、考えた事があるだろうか。
漠然と、世界を救う存在であるだろう事は、誰でもわかること。
じゃあ、勇者という存在って、一体なに?
意味不明な問いかけに聞こえるかもしれないが、どうか考えてほしい。
この……がむしゃらに勇者たろうとする、世界に健気な少女を見て。










旅立つ条件










「え?」
とある街の、お隣さん家。
フラッと立ち寄った少女ベルは、先程母親に説明したような内容を、
幼馴染の少年にサラリと説明していた。
「だからね、私、勇者みたいなの」
言いながらピッと目の前の少年、カロイスに見せるのは、一振りの剣。
勇者の剣と伝えられているものであり、何気なく今日、少女ベルが
触れてみた所、なんと反応して変形してしまったのだ。
そしてそれが、勇者たる証。
ベルは勇者なのだと、剣はそう伝えてくれたのだった。
「ウソ?」
長い事幼馴染をやってきたカロイスはといえば、今までのほほんと
暮らしてきていたお隣の仲の良い女の子が、実は勇者でした〜なんて
言われて、思考回路はショート寸前。
そんなカロイスの様子を知ってか知らずか、ベルは剣をおさめると
ニコッと笑って、改めて口を開いた。
「だからね、旅に出ようと思うの」
「え?」
「だから、旅だよ旅、勇者として、魔王と倒す旅」
言われてからかっきり五秒、カロイスの思考回路はショートした。
だが気合いで自己修復機能が働き、ベルが立ち去ろうと踵を返す寸前、
慌てて声をかける。
「だ、ダメだろそれ!」
カロイスの声に、きょとんと首を傾げるベル。
「どうして?」
「いや、だってほら、その……べ、ベルのお母さんだって反対しただろ?」
「ううん、賛成してくれたよ」
「えぇ〜!?」
あの心配性な母親がまさか、と思うカロイスだったが。
「あ、正確には賛成させた、かな」
そんなベルの言葉に、きょとんと首を傾げてしまった。
「どういう事だよ?」
「お母さん、確かに最初は反対、というか止めようとしたんだけどね、
なんとか説得したの」
「……マジ?」
うんと元気よく頷くベルに、何を言ったのか非常に気になるカロイス。
だから尋ねようとして……されど、ベルは今まで見せていたのほほんとした
態度を少し変えて、しっとりとした静かな雰囲気をまとわせると。
「だから当然、カロイスだって反対だよね?」
そんな事を言ってきた。
「え? ……あ、えっと」
「ふふっ、幼馴染なんだから、私達。顔に出てるわよカロイス」
「う……」
この笑顔に弱い。
立場的、そして人間的にはカロイスの方が色々と上な部分が多いくせに、
ベルのその、してやったりみたいな笑顔には昔から弱かった。
隠す必要もないので言ってしまうと、カロイスはベルの事が好きである。
だからそういう笑顔に弱い……と言えてしまえば、どれだけ楽な事だろうか。
そうじゃないのだ。
カロイスが弱いのは、笑顔の可愛いベルではない。
『自分の全てを見透かす、ベルの笑顔』に弱いのだ。
「(またオレの裏をかいてくるつもりだな……)」
なんだかんだとここ数年、ベルはカロイスと一緒の時は、よくこういう笑顔を
浮かべてはカロイスと共に色々やってきた。
悪戯したり悪さしたりなんて事は勿論しなかったが、近所の小さな子供達と
ちょっとした秘密基地を作ってみたり、かと思えばカロイスを巻き込んで
大家族おままごとをやってみたりと、それはもう色々である。
そういう年頃の子供達と遊ぶ事に抵抗のあったカロイスにはたまったものでは
なかったが、先程から言っているように、カロイスはベルの笑顔に弱い。
だから、今回もつい言葉を発してしまった。
「ああ……オレは反対だ」
「条件は何かな?」
待っていました、とばかりにベルが笑顔で問いかける。
本当に何か作戦でもあるようで、ならばカロイスもそれに真っ向から
立ち向かってやろうじゃないかと、本気の顔つきになる。
「(ベルが勇者だなんて……旅立つだなんて……)」
それはつまり、ベルがカロイスの前からいなくなるという意味と同意。
それだけは嫌だと、カロイスはしっかりと胸に抱いていた。
一つ小さく息を吐くと、カロイスは一旦家の奥へと戻っていき、それからすぐに
戻ってくる。
手には、いつも朝の日課で素振りをしている剣が握られていた。
「ベル、お前は勇者として選ばれたんだよな?」
「ええ、そうみたい」
なんでもないように言うベルだが、カロイスが言いたい事はもう伝わっているようで、
その笑顔が若干鋭くなっている。
カロイスから口にするまでもなく、その覚悟があるという表情だった。
だからカロイスも、遠慮なく条件を口にした。
「だったら、勇者でもなんでもないオレに、剣で勝てたら、オレはもう反対しない」
無茶苦茶な条件だった。
ベルは今まで、一般人として育ってきた、いわゆる普通の少女である。
その少女が、勇者の剣に選ばれたからといって、いきなり最強になるわけではない。
ゲーム風に言うならば、まだベルはレベル1の状態なのだ。
そこへ、毎日剣の修練をつんでいるカロイスと勝負して、勝たなければならない。
そもそもベルは少女で、カロイスは男性。
どこをどう見て、そしてどう考えても結果の見えている条件だったが。
「うん、わかったわ」
言いながら、外へと歩いて行くベル。
どうやら外の通りで勝負をするようだが……その後ろに続きながら、
ふとカロイスは思った。
「(なんでだ……ベル……?)」
条件云々の話ではない。
「どうして……お前」


表通りは幸い人通りが少なく、ベルやカロイスの事を知っている人間も多いため、
二人が剣をとって向かい合う姿を見ても、何かの遊びだろうと笑顔で
通り過ぎていくばかりである。
ケンカだなんだと仲裁に入ろうとする無粋な人間は、この街にはいないらしい。
「手加減しちゃダメだからね、カロイス」
言いながら、勇者の剣を構えるベル、はっきり言って隙だらけだった。
本人は中段に構えているつもりだろうが、そもそも剣の重さに腕が耐えきれて
いないようで、肩がわずかに上下していた。
あれでまともに剣を振れるのかどうかすら、もう既に疑わしい。
「お、おう」
だが、これもベルを勇者として旅立たせないため。
心を鬼にして、カロイスは剣を抜くと、綺麗に中段に構えた。
その瞬間、ベルの足が動く。
「え?」
「やああぁ〜!」
作戦も何もなさそうな、ただの突撃。
中段から上段へと剣を持ち上げて、思いっきり切りかかってくるようだ。
逆を言えば、ベルの動きは丸見え。
「ちょ、ちょっ!?」
とりあえずひらりと避けてみると、ブンと勇者の剣を振ってから、
ゆっくりとした動作でカロイスへと振り返った。
「はずれたわね……次こそは」
「いや……その」
弱すぎる。
あれじゃカロイスじゃなくても、子供だって鬼ごっこ感覚で逃げてしまうだろう。
だが、それを知ってか知らずか、再び突撃してくるベル、上段の構えも同じ。
「(しょうがない)」
ベルが振り下ろすタイミングを見計らって、横薙ぎにして弾きにかかるカロイス。
ギィンッ!
「あっ!」
だが、ここで予想外の事が起きた。
ベルの腕力ならば、横薙ぎにされた時点で間違いなく勇者の剣を弾き飛ばされると、
そう思ってのカロイスの一撃だったのだが、なんとベルは剣を離さない。
そのまま地面に倒れこむと、どこかこすったのか痛そうに表情を歪めた。
「べ、ベル!?」
やばいと思って助け起こそうとした、次の瞬間。
「まだまだぁ!」
苦悶の表情を浮かべながらも、すぐさま立ち上がって、三度突撃してきた。
「え、えっ?」
「はああぁぁ!」
戸惑いながらも、今までと全く同じ上段からの攻撃をひらりと避ける。
「こんのぉ〜!」
続けての攻撃も、やはり上段から振り下ろす突撃。
「ベル、お前まさか……」
「やああぁぁ〜!」
何も考えていない。
ただがむしゃらに、作戦も無しに自分の条件を飲んだ。
それにようやく気付いたカロイスは、もうどうしたらいいかわからなくなっていた。


それから、ほんの三分後の事である。
「はぁ……っはぁ……」
普段まともに運動なんてしない少女ではこの程度。
勇者の剣を杖に、肩で息をしながら顔を俯かせるベル。
これ以上やらせたら、ベルの体力が底を尽きて倒れかねない。
「なあ、ベル、これ以上は……」
一方のカロイスはといえば、横薙ぎの一撃以降はずっと避けてばかり。
おそらくベルは、絶対にあの剣を離さない。
そうなれば、どうにかベルが諦めてくれるまで付き合うしかないと思ったのだが。
「はぁっ……ま、まだ、ま、だ……」
杖にしていた剣を、再び上段へ、これで何度目だろうか。
「おいベル、本当にそれじゃ、お前の方が」
「はああぁ〜!」
動きも格段に悪くなっているし、そもそも上段のはずの剣の位置が明らかに落ちている。
「くそっ!」
これしかないと確信し、カロイスは振り下ろされる剣ではなく、剣を持つベルの手を
片手で掴むと、それでどうにかベルの動きを封じる。
「うっ!?」
「落ち着けベル、もう無理だってわかるだろ?」
もうベルの力では、カロイスの片手による受け身すら払いのけられない。
この程度の力では、たとえ勇者の剣がカロイスに当たる事があったとしても、
ダメージなんてないだろう。
……だが。
「ううぅぅ〜!」
「え……?」
ぐっと、受け止めていた剣の重さが増えていく。
単純に体重を乗せてきているだけだろうが、それだけでもわかる。
ベルはまだ、カロイスに勝つ気でいるのだ。
「(くっ……どうすりゃいいんだよ、これ……!?)」
こんな無茶をさせ続けていたら、絶対にベルが後で倒れる。
ならば自分が負ければ話は早いのだが、そんな事したらベルが勇者として旅立ってしまう。
「っ……なあ、ベル?」
「うぅっ! ううぅぅ〜!」
「どうして、お前勇者なんかになろうとするんだ?」
半ば暴れるような感じで剣を振り下ろそうとするベルに、カロイスが問いかける。
多分返事はないだろう事はわかってての、カロイスのそんな問いかけ。
だけど、返事はあった。
「できる事、するんだから!」
「え……?」
振り下ろす力が、更に一つ重たくなる。
「私はっ……私のできる事をっ……皆のためにっ……それが!」
更に一つ、そして言葉が紡がれるたびにどんどん重さが増していき……。
「(……ああ、なるほどな)」
それで、カロイスの疑問も氷解した。
剣で勝負をする直前に感じていた、カロイスの疑問。
どうしてベルは、母親を説得したような方法を自分にも使わなかったのか。
何故自分に対しては、圧倒的に不利なこの条件をのんでくれたのか。
それはつまり。
「それが……きっと! 私が勇者になったって事だから!」
その心意気、意志こそが勇者たる資格かもしれない。
それに気づいた瞬間、カロイスは受け止めていた手を離すと、ひらりと剣を避ける。
完全にベルからすれば不意打ちに近かったようで、勇者の剣を振り下ろすと同時に
地面に倒れこんでしまった。
「あぅっ!?」
さて、これで立ち上がれるかどうか。
カロイスは何も言わずに、じっとベルの事を見つめていた。
「はぁっ、はぁっ……っはぁっ、はぁ……!」
あれだけ渾身の力をこめ続けていたのだ、もう疲労はピークのはず。
普通の少女だったならば、立ち上がるどころか気を失ってもおかしくない、
それほどに過酷な状況。
だというのに、この選ばれた少女は、自分を選んでくれた剣を杖にすると。
「ま、だ……まだ……」
中段に近い上段の構えで、再びカロイスに突撃すべく立ち上がり、振り返った。
それを見届けたカロイスは……ついにやられた。
ガランと、その場に剣を捨てるカロイス。
「え……?」
その様子を、薄く開いているだけの目で見つめていたベル。
やがてカロイスは、静かに口を開く。
「やっぱりか……なんとなく、こうなる予感はしていたんだよな」
あの、自分の全てを見透かしたような笑みを浮かべたベル。
作戦なんてものは何も無くて、でもそれは、間違いなくベルの覚悟が感じられて。
おそらくベルは、最初から条件がなんであろうと、死ぬまで食らいつくつもりだったのだろう。
理由なんて簡単、さっきベルが言っていたからだ。
自分は勇者だから。
勇者になったのだから、自分のできる事、自分がやれる事で、皆を助けたい。
「(そのためにはまず、オレを倒すか……悪くない勇者だよ、ホント)」
ゆっくりと丸腰のまま近づくと、ベルの身体を抱き留めるカロイス。
「オレの負けだ。とりあえず部屋で休もう」
「ぁ……わた、し……」
その言葉を最後に、ベルはようやく気を失ってくれたのだった。


それから数時間後、もうすぐ夕食かな〜なんて時間。
「まったく無茶して! あと少しオレが気付くのが遅れてたらどうなってたことか!」
なんか、カロイスがベッドの上で正座しているベルに説教をしていた。
「だって、ああでもしなきゃカロイス、絶対に私が旅立つの許してくれないでしょ?」
「当たり前だ! 大体、あんなまともに剣を振る事もできないようなベルに
旅ができるわけないだろ! もっと自分の力量を考えてから行動しろって!」
「で、でも私、ようやく自分で何かできそうな事を見つけて……それで」
気が付いたら、もういつもの幼馴染である、立場はちょっと違うみたいだが。
はぁ、と溜息をついたカロイスは、改めて問いかけた。
「ベル、どうしてそんなに勇者にこだわるんだよ?」
「え?」
「多分お前、おばさんには、何か自分にもできる事があるかもしれない、みたいな事言って
説得したんだろ?」
「う……正解」
「でもそれってさ、勇者じゃなくてもできるし、もっと言えば、この街でだってできるだろ。
わざわざ勇者として旅に出なくても、ベルがやりたい事はできるんじゃないか?」
そもそもオレはベルといたいし、なんてキザったらしいセリフはさすがに口にしないカロイスくん。
それに対して、ベルは少しだけ顔を俯かせると。
「……だから」
「え?」
悲しそう、というより恥ずかしそうに口を開いた。
「がんばって、みたいから」
「は?」
その言葉に、きょとんとするカロイス。
それから、本当に恥ずかしそうに、顔を赤くしてまくしたてるベル。
「私、この街でずっと暮らしてて、カロイスとかと一緒に遊んだりして、すっごく
幸せだなって思ってたの。うん、今だってそうだよ? でもね、でも……
私が勇者なんだって思った時、これじゃダメだって思ったの。だって、今までの
私って……全然、何もがんばってないような気がして」
「そ、そんな事ないだろ?」
言葉に首を横に振るベル。
「ずっと流されてて、幸せに浸ってて……私はそれでいいのかもしれないし、
街もそれを受け入れてくれる……でも、じゃあその外には何があるの? カロイス知ってる?」
「外? ……って街の外は危険だろ……あ」
ベルの言いたい事が、ようやくわかったカロイス。
ベルはベッドのそばに置いてある、勇者の剣を見つめた。
「私はきっと、いつまでもがんばってなかったから、この勇者の剣に『がんばりなさい』って
叱られたんだと思うの。だから私、がんばろうって思ったの。どんな大変な事でも切り抜けられる
立派な勇者になって、世界を平和にして……それって、私がやっちゃダメな事なの?」
「え?」
「他の人に任せないといけない……勇者って、そんな他人任せの存在なの?」
その言葉に、ついに何も言えなくなってしまったカロイス。
ベルは昔から、妙な所でカロイスの上をいく思考をする事があった。
まあ酷い表現をすると、女性の方が精神年齢の発達が早いという理屈があるのだが、
今はそのあたりを長々と語る必要はないだろう。
そう、ベルはカロイスよりも、実は常に一歩大人だったのだ。
そして今回は、勇者の剣に選ばれた事により……更にカロイスとの差が開いてしまっただけの事。
「……なんていうか」
「ん?」
絶対に口にはできない、カロイスのセリフ。
心底惚れた。
こんな頑張り屋な面も身に着けてしまった幼馴染の少女に対して、もう少年は
これでもかというぐらいに惚れ込んでしまった。
ずっとベルと一緒にいたい。
まだ戦いの基礎すらできていない最弱勇者だが、それでもカロイスからしてみれば
最強の幼馴染だった。
だからだろう。
ようやく、こんな当たり前の結論が口をついてでる。
「ベルが旅立つ条件、一つ追加していいか?」
「え? な、なんでよ、私もう勝ったじゃない」
「いいから聞く」
ちょっと強い口調のカロイスに、不満そうな表情をしながらも黙り込むベル。
そんな、ちょっとふくれっ面にも見える表情すら可愛く感じるのだがら、カロイスという少年、
本当にベルの事が好きだと自覚してしまったようで。
「勇者にはパーティがつきものだ。だからまず、その最初のメンバーに、オレを加えてくれ」


翌日、荷物をまとめて出発した、勇者パーティ。
たった二人だけの小さなパーティで、おまけに両方とも剣術使いという
アンバランスなものだったが、それでも二人は満足そうだった。
「ねえカロイス、隣町って、歩いてどのくらい?」
新調した衣装に身を包んだベルは、それはそれで目の保養。
一応カロイスも旅支度としてマントやらアーマーやらを着込んでいるのだが、
明らかにベルの方が小奇麗だった。
「ちょっと待てよ、確か地図だと……」
地図を取り出し、隣町の位置を確認。
それから、顔をひきつらせてポツリと呟いた。
「こんな紙の上だけの目測じゃ、何日かかるかわからない」
当たり前だった。
旅をしたことのない人間が、いきなりそんな目測できるわけがない。
「あ〜そうよね」
「どうする? もしかしたら野宿とかするかもしれないぜ?」
そうなったら、なんとベルとカロイスの二人っきりの夜なんて
ドッキドキのイベントになるわけなのだが。
「まあ、旅をする以上はしょうがないわよね。がんばりましょ」
全く気にしていないベルのそんな言葉に、苦笑すらもれずガックリと
肩を落とすカロイスがいた。
「ん? カロイスどうしたの? もしかして具合悪い?」
そんなカロイスに、本当に心配そうに声をかけてくれるものだから、
この鈍感勇者少女、ちょっと意地悪である。
「な、なんでもない……とりあえず、まずはきちんと旅ができるように、
がんばって慣れていかないとな」
「そうね。あ、野宿の時なんだけど、寒かったらくっついて寝てもいい?」
「ええぇ〜!?」
いまだかつてないベルの大胆発言に、思いっきり驚くカロイスだったが。
「冗談よ♪」
そうやって笑う勇者さまは、心意気を隠した、ごくごく普通の少女だった。